つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

蛇にピアス

 ベローチェでいつものようにマロンパイを食べ、ブレンドコーヒーをすすりながら読書を始める。本を読み始めるのは苦痛だ。義務だからやっているとしか思えない。風呂だって買い物だって自転車で散歩することだって。眠ること以外は全部そうだ。でももしそれらの義務がなかったら、と思うと。冬の水たまりに足を突っ込んだまま茫然とする子供のような僕が脳裏に浮かぶ。とりあえずページを開き、そろそろ湿気り始めたアークロイヤルの1本目に火をつける。何だってやり始めさえすれば楽しい。
 世の中にはこういう世界もあるんだろうな、なんてことを思うということは世界がしっかり描かれていると感じたということ。舌ピアスとかタトゥーとか殺人とか、ともすれば浮いてしまいがちな素材がきっちりと組み込まれている。木造建築のように揺らぎながらもしっかりとした話。日本語もきれいだ。