つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

夢のまた夢

 傘を差しながら自転車で走った。西行の縁の地があれば寄りたいなあと想っている内に思考は清少納言紫式部どちらが好きかという問いの不毛さに及ぶ。比べられ続けて千年か、と心の中で茶をすすったのは淡交社のビルが見えたからでもある。
 次の瞬間つんのめった。紫式部の墓だ。こんなところにあるなんて知っていたわけがないのに。一人の娘を産んだ母親に手を合わせる。隣には小野篁が埋まっていた。南天の実が赤かった。また金閣寺への道に戻る。
 金閣寺の前にも募金活動を行う学生たちがいた。京都駅前にも東本願寺の前にもいた子たちだ。ついに小銭を入れてしまった。今頃東京では中越震災募金の活動と、募金に名を借りた活動がピークを迎えているはず。ブームでもない募金活動に金閣寺の前という立地はどうなのだろうかと雨に濡れ続ける彼らを見て思う。
 修学旅行生の大群が走り過ぎていく。もちろん傘をさしていない。彼女たちはいつも精一杯変な顔をして写真に写ろうとする傾向がある。なんか謎が解けた気がした。