つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

愛妻家の朝食

 家に帰って鮭を焼こうとしたがまだお腹が空いていない。なんとなく自転車に乗って渋谷まで。
 最近「世界に一つだけの花」が聞きたくてどうしようもなくなっていたので借りる。一緒に椎名林檎の「真夜中は純潔」も。「真夜中は純潔」はプロモに抵抗があったためか今までずっと借りずにいたのだった。音楽が聞きたいけれど借りるものがないというようなときに借りればいいというスタンスで。
 家で風呂に湯を張りつつ、鮭を食べ、「世界に一つだけの花」を聞く。困ったように笑いながらずっと迷ってる人の色とりどりの花束と嬉しそうな横顔。萌え。
 ああいい歌だ。この歌詞をめぐってあれだけの論争が行われたのだね、と思い微笑する。文化についての議論はエンターテイメント。この歌詞よりうつくしい論争は果たしていくつあったのだろうか。
 風呂に入りながら「真夜中は純潔」を聞く。構成は「真夜中は純潔」「シドと白昼夢」「愛妻家の朝食」。夜・昼・朝の歌。
 なんで単なるカップリング曲がやたらコアなファンに受けているのだろう。なぜならそれがコアなファンというものだから。そう思っていた「愛妻家の朝食」。
 最初は静かなピアノとアコーディオンによる朝だったのになんて優雅な反転。踊るピアノ。「と・こ・ろ・でこんな情景をどう思われますか」。こんな歌詞が書けてこんな曲が作れるなんて。湯の中なのに鳥肌が立つ。悲痛なのにずっと微笑が絶えないような歌。椎名林檎の曲で一番好き。溺れそうだ。風呂で。