つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

うちは湖が見とうなった

 まだ冬の夢から覚めていないような薄い光。みずうみの側。砂地を子供が駆け回っている。風が強い。足漕ぎボートに乗ろう。
 うつろな目をしたパンダボートに襲い掛かる波頭。船底の衝撃が屋根を貫く。船体から上がる低音の悲鳴。ゴゴゴゴンっておい。視界揺れすぎ。沈むんなら夏じゃないとつらいね、とぽつり。
 それでもボートは島にたどりつく。島にあったのは小さな社で、そこにはチンコが祭られていた。黒光りするチンコの隣には何の変哲もない石が置いてあったが、よく見るとどうも対になっているようだ。頭の中を「強く儚いものたち」が流れる。同じタイミングで上陸した真面目そうな中年夫婦はそそくさと島を去っていった。かわいそうに。
 島を歩くと魚の骨が落ちている。鶏の骨も1羽分落ちている。ベンチも1個落ちている。家族連れのボートが島に向かってきているのが見える。まさか親も5分後に鼎の軽重を量られる運命にあるとは思ってもいまいに。僕らはずっと笑いっぱなし。チンコがあるだけでこんなに幸せ。