つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

としまえんのスライダー

 プールから上がりラーメンを食べ、ついでにマリオンクレープも食べてしまう。生クリームたっぷりのクレープを頬張る男二人。僕たちの席を、子供が避けて通っているような気がした。
 チューブに乗ってすべるスライダーに乗ろうとしたが、これにはお金が必要。ブレスレットにチャージされたお金は生クリームチョコクレープを食べるために使い切った。やむなく普通のスライダーに向かう。
 スライダーはとても混雑していた。待っていると風が吹いて寒い。気を紛らわすために、僕の日焼けした皮膚を剥がしてもらう。きゃっきゃっ言いながら皮を剥がしあう男二人。いや、一方的に僕が剥がされているだけだが。
 剥がした皮は下に落とす。皮は風に舞い、ときどきスライダーのコースの上に落ちる。スライダーで流れて行っている人たちは、僕の皮が命中してもどうせ気づかないだろう。ああ風がすっかり秋だ。さよなら僕の皮膚。
 中くらいの高さのスライダーと高いスライダーがあって、どちらもそんなに早くなかった。しかし中くらいの高さのスライダーは何種類かあることに僕たちは気づいた。なぜかコースの長さが半分くらいしかないスライダーがある。ということは、角度は?
 気づいたときには日が暮れつつあり、スライダーに並ぶ客もほとんどいなくなっていた。ただのスピード狂と化した僕たちはひたすら階段を上り、スライダーで滑り落ちる。無茶苦茶早い。入射角が悪いと水しぶきで何も見えないままプールに突っ込む。これ以上スピードは出ないだろうと思った瞬間に来る急角度。何も知らない女の子が「じゃあ私こっちにするね」とスライダー入口に腰掛けた瞬間「何これ?」とつぶやくのを見るのも面白い。後には長い悲鳴。調子に乗って僕たちも悲鳴の出しあいっこ。
 階段を上りすぎてふらふらになったところで閉場のアナウンス。最後に飛び込みをやってみる。大したこと無さそうに見えて実はすごく高くてすごく怖いんだろうな、と思っていたら全くその通りだった。
 一回目は普通に飛び込む。意外と普通に飛び込めた。そんなに痛くも無い。調子に乗ってというか挑発されてというか、二回目は回転しようとしてみる。見事に失敗。おそらくトラックに轢かれたカエルのような姿で落下。受けられる最大限のダメージを全身に受けた。顔面、腹、腿。僕の前面全てが一斉に悲鳴を上げる。口は開ける余裕も無い。