つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

としまえんのプール

 野村沙知代を起用したポスターを見て以来、ずっととしまえんに行ってみたかった。いろいろあって行く機会に恵まれなかった。だけど、今日こそはとしまえんに行く。いつになく僕の決意は固い。
 スーツ姿の後輩と浜松町で待ち合わせ。それまで港で貨物運搬業務(軍事関係)に従事していた後輩は汗だく。どこから見てもプールに行く格好ではないが、港もプールも水際には違いない。港に行ってプールに行っていけないわけはない。仕事帰りにプールに寄るというのもジムのプールであればよくあることだ。そう自分を納得させる。それにしても休日の大江戸線にスーツは似合わない。
 都営線のフリー切符でとしまえんの入場料も割引になることに驚愕しつつ、ついに僕たちはとしまえんに足を踏み入れる。そこは遊園地。誰もが童心に帰る場所。気色悪いソーセージの像たちとはしゃぎながら写真を撮る。そんな男二人。俺たちが持ってたのってこんな童心だったっけか?
 プールに足を踏み入れる頃には日も傾きつつある。最初に入った波のプールは水が冷たい。水の冷たさに正気を取り戻してみれば、周りはカップルと家族連れ、中高校生の団体。一気にテンションが下がる。何か僕たちが一番楽しくなさそうじゃない?
 でも流れるプールに入ってしまえばそんな疑念は雲散霧消。温泉のように温かい水に浸かり、ただ何もせず流れていく。流されるのが心地よく、ときどき流れに逆らってみるのもまた心地よい。この流れる水の中で仕事をしたい。一生ここで流れながら暮らしていきたい。そんな願望も思わず口を突く。水中でマウスさえ使えればなあ。