つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

夢の島植物園

 最近職場では南の島の話も多く、その度に僕もどこかへ行きたいなと思う。こぼれ落ちんばかりの緑。咲き乱れる花。熱帯に行きたいな。もっとも、僕が抱いている熱帯のイメージってアーシアンのですけど。
 あまりにもタイムリーなことに、夢の島熱帯植物園では食虫植物の展覧会をやっている。食虫植物もたまには見たい。温室にも行きたい。ガラスと細いフレームで構成された、温度管理の行き届いた楽園。温室は熱帯よりたぶん好きだと思う。人工的である分だけ。
 ということで後輩と出かけた。お互いの職場の話とかをしながら温室に向かう。ねじれきった人間関係の話は面白く、僕はまだ幸せな方なのだなと良くない安心感を得た。あはは。でもまっすぐはまっすぐで疲れるものらしいよ。しかし夢の島は広大だね。温室にたどりつく前から草原が広がりすぎる。なにあの大きすぎる花。
 温室はイメージ通りでとてもよかった。4年くらい前に一度来たことがあるのだからイメージ通りも何もあったものではないのだけれど。天井が高いなあ。ヤシの木だなあ。バナナだなあ。ハスだなあ。水だ。
 食虫植物展はかなしいことに予想通り。相変わらずウツボカズラは枯れかけているし、タヌキモとムジナモはやっぱりよくわからない。ただのもずくだ。モウセンゴケは図鑑でみるのが一番だなあ。もちろん展示が悪いというより、僕が食虫植物に抱いているイメージが悪いのだが。
 カブトムシの展示があった。世界で一番重いゾウカブトムシが、ひっくり返ってもがいている。重い胴体の上でうごめく足。嬉しそうにスケッチをしている子供を見ながら、万一自分の子供が昆虫好きになったらどうしようと頭を抱える。昆虫は気色悪い上に壊れやすい。最低だ。叩き潰すのなら躊躇いはしないけれど、愛玩するとなるとどうしていいのだか。カブトムシなど一生幼虫のままでいてほしい。幼虫も好きじゃないけど。
 外に出ると小雨。折り畳み傘を開き、漫然と駅へ向かう。夢の島滞在時間は約1時間。温室にはカップルやら家族連れやらヒッピー風の3人やらいろんな人たちがいたけれど、僕たちも一体何なんだ。