つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

伊勢ろくの親子丼

 うちの会社には役職と職階とがある。先日遠くの部署にいる先輩の役職が劇的に上がったので、お祝いをかねて情報交換をしようと思っていた。なかなか予定が合わず、ようやく今日会うことに。
 約束は17時なのでゆっくり起きる。だらだらしていたら携帯が震えた。会う時間をもっと早くできないかというオファー。引っ越し先の入居者が出て行ったので一緒に部屋の下見をしてもらえないかという話。何ですか今日は引っ越し祝いもですか。
 西新橋の東京スター銀行の前で待ち合わせ。自転車で行きますと言ったはいいが、外は小雨。今日は外に出かけるとき傘を持っていなかった。だから雨が降っているとは思っていなかったのだった。
 というより今日は外に一回も出ていない。特に家にいないといけない理由もないのに、昼過ぎてなお外に一回も出ていないなんて。
 傘を差して神田をふらつき、以前から気になっていた地鶏のお店で親子丼を食べる。炭火の臭いがつかないようにガスで焼いているところがよい。
 炭火の利点は遠赤外線効果によりふっくらと熱が通ることにあるのであって、あの焦げ臭さは悪しき副作用だと思う。もちろん炭の上に脂が落ちなければ焦げ臭くはならないのだが、それには超人的な手間がかかる。普通に考えてガスの方がいい。
 飯がまずくなることを考えながら、親子丼の到着を待つ。親子丼が来たら蓋を開け、柚子七味を三つ葉の周りに振りかけてまた蓋をし、ゆっくり10数える。蓋を開け、ご飯を端のほうからちょこっとすくい、口に運ぶ。おいしい。まずくなる要素があまりない料理だが、それでも大手町界隈とはえらい違いだ。
 僕の後に来た人は大盛りができず、その後に来た人にはもうご飯がなかった。ラッキーというべき。だけど申し訳なさが強すぎて、足早に店を出る。
 新橋まで徒歩。道は広く空は寒く、まだ小雨。