つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

幸福な食卓

 もらいもののチョコレートでカロリーを確保すると午後になる。つつましいことだ。今年食べた中で一番高価な昼食だけど。
 ダ・ヴィンチを少し読んでは止め、少し読んでは止め。その繰り返しで襲い来る退屈への引き伸ばし策を講じていたら、瀬尾まい子さんの本が取り上げられている記事を見つけた。突然父さんを辞めると言い出したお父さん。別居したお母さん。天才だけど大学に通わなくなった兄の直ちゃん。直ちゃんの下品な彼女。頭が悪くて真っ直ぐな彼氏。推薦しているのは、OAZO丸善の店員さん。とりあえず外に出てみることにする。寒い。
 なんで男性作家と女性作家の棚は分かれているのだろう。内容では分類しにくい文芸書を少しでも細分化して探しやすくするためには男性と女性で分けるしかないんじゃないかな。えー、わかるけどでも釈然としないですよ。そんな自問自答をしつつOAZOの本棚の間を通過したり立ち止まったり。「幸福な食卓」は平台に積まれていた。少し読んで買おうかどうか迷い、結局全部立ち読みすることにする。推薦した店員さんには申し訳ない。名前も顔も覚えてこなくてよかった。
 泣ける話。でも悲しくて泣く話ではない。家族が崩壊する予感は常にしているから、崩壊しても幸せなのはいいことだとしか思えない。安心して悩んだり悲しんだりできるのもいいことだと思う。歪んではいる。でも歪んでいても、救いはないよりあった方がいい。
 心が温まる。でも外はやはり寒い。