つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

神田ふれあい橋

 東京で好きな橋は何と聞かれたら、神田川を渡る歩道橋の名を挙げる。聞かれることはないことくらい知っているけど。
 細い歩道の橋は折れ曲がっていて華奢。真横には首都高速道路が走っていて、陰になりがちな橋は小ささを際立たせる。渡っているのは所詮神田川。でも隣を大型トラックが走り抜けたりすると、突風が吹く渓谷の橋を歩いているかのような気分になる。
 もちろんきちんとした造りの橋だから揺れることはないし落ちることもない。立ち止まっても一向に構わない。流れる川と大きな街と疾走する車の中にいると、自分は取るに足らないなと思う。不安でも自嘲でもない。思うのは、どこに行ってもいいし、何を仕掛けてもいいんだな、ということ。
 橋を降り、ビルの谷間を抜けると突然秋葉原。こんなに小さい橋なのに、両端が全く別世界であることが信じられない。