つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

友がみな我よりえらく見える日は

 生活は命と同じで、無茶をやっても壊れないときは壊れないし、つぶれるときはいくら全力を振り絞ってもつぶれる。ベランダから誤って落ちて視力を失った友達。いい腕をもちながらもだんだん仕事がなくなっていく映画のネガ編集者。登校拒否の中学生。離婚各種。そんなルポルタージュ。「人は劣等感にさいなまれ深く傷ついたとき、どのように自尊心をとりもどすのか」というコピーで買ってしまう自分に笑い。
 ありふれた絶望。それは二重表現。ありふれていることこそが絶望だから。でも絶望を丁寧にすくい、文字にして記録しようとする人がいる。もしこの本がベストセラーになったら、それがいいか悪いか、面白いか面白くないかを議論する人がいて、その議論の結果を元に心が軽くなったり重くなったりする人も出てくるだろう。でも僕はこの姿勢だけで心が軽くなったから、あとはその議論を楽しみに待つだけ。