つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

上書きして保存しない

 きっとここに来ることは二度とないのでしょう。真っ暗な海はただひたすらに怖かった。空の黒、海の黒。全ての光を吸い込む水平線の向こうから、白い波頭だけが音を立てて迫ってくる。波打ち際から離れた砂浜の上で、それでも海に引きずりこまれそうになるのを必死に耐えていた。
 長崎は海に囲まれているが、島の数が異常に多いためまっすぐな水平線を見るのは難しい。地上から水平線を見たのは初めてに近かった。光一つ射さない午前1時の海。もう4年くらい前になるか。あれはどこの海だったっけ。
 なのに僕は由比ヶ浜に来ている。しかもビーチパーティのために。とりあえずベンチを蹴ってみた。