つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

下妻物語

 会社帰り。いつもは歩きなのに今日は電車に乗る。行き先は渋谷。さて渋谷に着いたはいいが電話がつながらない。スーツ姿の僕に一人で下妻物語を見に行けというのかい?
 「ヨハン・シュトラウス」「知らねーな、そんなバンド」。笑い。結局一人で下妻物語を見るはめにはならずに済んだ。そして開演。暗くなった館内。開幕早々軽トラに原チャリで激突、フロントガラスを粉々にし野菜とパチンコ玉を撒き散らしながら吹き飛ぶ桃子。すげーと見てたら、遅れて入ってきたフリフリの女の子がポップコーンを撒き散らしながらすっ転んだ。コーラでなくてよかった。
 友情を描くなんて陳腐さの宝庫、ましてゴスロリとヤンキーというちょっと変わった設定。ちょっと変わっているところが一層陳腐さをかき立てるどうしようもないストーリーだと思っていたら、ちょっとしてやられた。台詞の一つ一つを面白がって作っているんだろうなあと思った。実際面白いし、本当のことを言っているように聞こえる。「私、マジで心根腐ってます」「そんなあなた、恋をしてしまったでしょう」「でもここには誰もいないよ」。そう、ちゃんと一人の人間が言っているように聞こえる。心は推移しても性格は変わらない。そうだよな。会いたいよイチゴ。
 とにかく下妻でありジャスコで田んぼでパチンコ屋で喫茶・レストラン貴族の森牛久大仏。とんでもなく細かいところまで笑える演出が施してあり、ものすごく笑える。さんざん笑い倒したあとで、ラストのイチゴと桃子の笑顔がすごく男前にかっこよくて。