つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

皇居東御苑

 都会は緑が少ない。ただし東京は除く。
 バルトがいうところの「空虚な中心」。高村薫はインタビューで大阪と東京の違いを一言で言うと?と聞かれ「皇居の有無」と答えた。誰もが普段忘れているけど、忘れていることすら忘れてしまうほど巨大な庭。うちから一番近い公園。宮内庁管轄の。
 入園券を受け取って平川門をくぐる。雑木林。堀。石垣。広大な芝生。急な坂。その坂は昔日比谷入り江が眺望できたことから汐見坂と呼ばれていた。日比谷公園がそっくりそのまま四角い入り江だった時代もあった。当時も僕の顔みたいな人はいたんだろうかなと想像する。ビルが多すぎて入り江の光景を想像するのは難しかったから。
 ぽつんと石垣だけがあった。本丸だ。鴉の姿がちらほら見える。本丸を降りたら、見える鴉の数以上の鳴声が響き渡った。