つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

卯花墻

 国宝の茶碗は少ない。国産となると2つしかない。
 とけるような硬さ。しっとりとした乾燥。美術の資料集で見て以来、ずっと気になっていた志野茶碗。銘を卯花墻。もっとも銘は今日初めて知った。
 新しい三井記念美術館は所蔵品が渋く、客層ももちろん渋い。10月にもなって半袖で入るのは、ラーメン屋に入る以上の勇気を要した。外ではパレードをやっている。大人しくパレードでも見てればいいのかもなと思ったが、外は寒い。
 高層階とは思えない薄暗い展示室。楽焼や蒔絵の名品が並ぶ先に、志野焼の茶碗はあった。通路の中央に質素なショーケース。本物の茶碗はちょっと想像とは違って、縁が鋭い印象だった。喉が渇く。お茶を入れたい。