つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

忠実ではない講義メモ

 スウェーデンは上品な福祉国家。ビザを要求しないため、ストックホルム北朝鮮の要人の会合などにも良く使われる。ビザが必要ないのは、それだけ警察と密告の機能がしっかりしているから。国家が主導で富の再分配をすれば必然的に警察組織が強くなる。これはスイスやノルウェーなど、第二次世界大戦での中立国家にも良く見られる現象。
 大規模な脱税事件をやる人には共通点がある。1つはとても人には言えないほどの金の苦労をしたことがあること。もう1つは、そのときに日本政府が何の手助けもしてくれなかったこと。公認会計士の犯す大規模脱税事件で明白な証拠などそうそう上がりはしない。だから検察官は、脱税犯の気持ちになり、置かれた状況を追体験して、供述を引き出す以外に立件する方法はない。
 イラク人質事件で日本のマスコミは批判的だった。自己責任の名の下に人質の親に謝罪を要求するなど意味不明な事態が発生した。自己責任は自由主義に基づく発想であり、自己に責任を帰属させるのだから、親に責任を求めるのは当然筋違い。これらの現象は個人の自由な行動を保障する民主主義の危機だという話もあったが、これは逆で、自由主義の危機の間違い。民主主義とは民意を反映するものであり、人が普通やらないことを断罪するのは民主主義が正しく機能している証拠。ナチスが民主主義に則った政権であるのと同じように。逆に愚行権とも呼ばれる自由主義は、かなり圧迫されている感がある。
 イスラエルは海外に出るときは自己責任。ただし、国家がちゃんと教育をしている。この国に行った場合、具体的にこのようなゲリラがいて、このような拷問をされ、このような殺され方をする危険がある、と。それでも行くなら止めはしない、という発想。日本は海外の危険レベルを告知していると行っても五段階の数字でしかないし、判断のしようがない。情報を与えていないのに自己責任と言うのもおかしな話。
 本屋はとても重要。インテリジェンスが扱う情報の98%は公開されている情報。その内6割から8割が書籍。都市に行って本屋と客層を見れば、今どの階層でどのようなテーマに興味が持たれているかが一目でわかる。
 人間の知は体制によってそんなに違うものではない。ソビエト崩壊前のモスクワ大学では、ブルジョア批判学科は資本主義の研究を、科学的無神論学科では神学の研究を大々的に行っていた。
 再販制度は維持した方がいい。ロシアではソビエト崩壊とともに本の流通が止まった。それを利用して、本が来なくなった冬の北方四島の人々に本を与えて歓心を得ることに成功したりもしたが。ドイツでは再販制度の廃止に成功したというが、結局廃止後も制度を変え続け、結局ほとんど元の形に戻っている。
 神皇正統記陸軍中野学校でも読まれたよいテキスト。日本という国はよくわからない、だから海外のことをよく知らないとどうしようもない、という思想。自分の宗教を知らないで人の宗教をとやかく言うな、という指摘もあれば、権力と権威が分かれているのが日本のいいところ、という指摘もある。右翼も左翼も一度読んでみるとといい。