つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

オルランド

 家に帰って「オルランド」を見る。ビデオを見るのはいつも返却日直前だ。ただでさえテレビを見る習慣がないのに。苦痛。仕事や宿題と何も変わらない。
 繊細で臆病なのに、ちょっと調子に乗ったせいでエリザベス一世の寵愛を受けてしまったオルランド。びくつくお坊ちゃんに与えられたのは永遠の若さという呪い。
 真っ正直に恋をして失恋。「詩はすばらしい」と作った自作の詩は尊敬する詩人に罵倒される。異国に外交官として出向き、戦いの指揮を執り、人を殺したショックで眠ると時代を超えて女になってて。社交界で男に立てつき、また時代を超え、男とセックスをして別れ、戦火を超え。そしてオルランドは子供を生んだ。
 現代でオルランドは母として作家として生きている。ただ翻弄されるばかりだったオルランドが世界から子供を守る側に。人を動かす思考を発信する側に。
 性別を超えても本人は変わらず自由に生きる、と評判だけどそれは少し違うと思う。繊細でお人よしで、自意識も過剰気味なオルランド。バカな子なのに自由にしか生きれなかったから少しずつ成長していくのだ。400年をかけたジュブナイル。性別が変わったことが成長の方向に影響しなかったという意味では変わってないのだけど、でもこれは成長と変身の物語。
 美しいというか萌えどころ満載。人付き合いがうまいわけでもないオルランドがへらへらと酔っ払いながら異国の外交官に話を合わせる。妙にハイテンションなオルランドに外交官は「恋に破れなさったのか」と一言。へらへらしたまま崩れるオルランド。えっと、まだ男なんですけどこの人……。外交官は友情だと言い張っているが、本当に友情か?