つらぬくような軽いいたみ

毎日は書くことができない日記

吉野家の牛丼

 朝起きたら咳が止まっていた。信じられない。そのまま10分くらいベッドの中でじっとしていたが、やはり咳が出なかった。今日は三連休の初日。本当に仕事の上でのストレスが原因だったのか。
 そういえば今日は吉野家が牛丼を発売する日だった。吉野家ではこの間、注文してから財布を忘れていることに気付くという失態を犯したばかりではある。そのときは出て来た炙りチャーシュー丼に箸をつけず、「家がすぐ近くですから!」と言い捨てて財布を取りに行った。言うほど近くない家まで走って往復した後食べた、冷めかけたチャーシュー丼はとてもおいしかった。あの旨味と甘味を僕が忘れることはないだろう。
 思い出すに恥ずかしい。けれど牛丼はせっかくだから食べておこう。寒さと恥ずかしさで頬を赤くしながら自転車で淡路町に向かう。
 吉野家から人が溢れ、溢れた人は行列を作っている。シュールだ。学校からも繁華街からも程遠く、住宅も少なく、土日祝はほぼ無人となる企業の雑居ビルばかりが並ぶ淡路町に、なんで行列なんてものができているのか。取り付け騒ぎってこんな感じなのかなと思う。
 秋葉原吉野家に行ってみる。牛丼との親和性が極めて高いと予想される秋葉原。きっと地獄のような有様を呈しているに違いないと思ったら、そうでもなかった。行列は淡路町より短いし、3階建てなので淡路町よりも客が早くさばけているようだ。大人しく並んでみる。牛丼の歌を収録したCDのビラを配っている人がいた。
 予想より早く2階に案内され、席に着く。牛丼並盛と卵を注文。すぐに運ばれてきた牛丼からは懐かしい匂い。一口食べる。おいしい。柔らかい肉。ぱらぱらしているが決してパサパサはしていない、ハリのある米。食べるほどに食欲をそそる濃くてあっさりした味付け。一年前までこんなおいしいものが日常的に供給されていたのか。日本は怖ろしい国だったのだと思う。
 真の牛丼ファンであることを証明する証明書をもらった。しっかりした紙だ。別に牛丼ファンじゃないけれど、なってもいいと思った。